オール電化の電気代目安は？メリットやデメリット・節約方法

「オール電化は光熱費を節約できるって本当？」「月々の電気代はどれくらい？」など、オール電化に関して疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。

ガスを使わないため、自分のライフスタイルが導入に向いているかも知る必要があるでしょう。本記事では、オール電化住宅の電気代について詳しく解説します。

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監修者 江田 健二 RAUL株式会社 代表取締役社長 一般社団法人エネルギー情報センター理事 環境省地域再省蓄エネサービスイノベーション促進委員会委員

環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援をしているRAUL株式会社 代表取締役社長。複数の社団法人で理事を務める他、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション促進委員会の委員のひとりでもある。 著書に ・『電気・ガスはどこから来るのか？エネルギー供給のしくみをさぐろう』 ・『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』 などがある。

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オール電化住宅の電気代目安を紹介

オール電化にすると日常生活で使用する家電製品はもちろん、調理や暖房などもすべて電気を使って利用できます。つまり、これまでガスを使っていたところも電気に変わるのです。

日常生活に必要な熱エネルギーをすべて電気になればどれくらい費用がかかるのでしょうか？ここでは、関西電力が公表しているデータを紹介します。

オール電化住宅の電気代

下表は、関西電力が公表しているオール電化の平均電気代と一般住宅の光熱費合計の比較表となります。

オール電化住宅の数値は、関西電力のオール電化プランを利用中の「はぴｅみる電」会員の2020年～2021年の年間使用量の平均値です。

一般住宅の光熱費目安は2021年の「総務省統計局「家計調査 家計収支編 2021年 世帯人員・世帯主の年齢階級別」から算出された結果となっています。

どちらも電気代が高騰している現在よりも安い数値であると考えられるため、あくまでも目安として参考にしてください。

オール電化のモデルケースでは？

画像出典：九州電力「キレライフプラス」

オール電化を実際に導入するといくらになるのか？モデルケースで確認しましょう。例えば、九州電力には「電化でナイト・セレクト」と言うオール電化向けのプランがあります。

4人家族がオール電化により「エコキュート」で給湯し、IHクッキングヒーター調理になった場合、「月額14,049円」※という試算になっています。

※出典：九州電力

オール電化と電気・ガスでの料金差はどれくらい？

オール電化にすればガス料金がかからなくなります。電気とガスを使っていた家庭はどれくらい差が出てくるでしょう？

総務省「家計調査」によれば2023年の4人世帯の月平均の電気代は「13,532円」、ガス代は「5,284円」、他の光熱費「797円」となっていました。これらを合わせると「19,613円」です。

関西電力のデータでは、4人世帯のオール電化の月平均が約16,533円でしたので月間で3,080円、年間で36,960円安くなっています。

ただし、関西電力のデータは2020〜2021年のデータを集計したもののため、2021年以降に電気代が値上がりしたことを考慮すると、現状では年間3万円以上も安くなっているとは考えられない点に注意が必要です。

オール電化住宅の電気代を節約する方法5つ

オール電化で電気代を節約する方法を紹介します。

1.新電力会社を検討する

オール電化に対応しているのは、地域の大手電力会社だけはありません。電力自由化登場した新しい電力会社でも、オール電化対応のプランを用意している場合があります。

そのため、乗り換えをすれば電気代が安くなる可能性が高いです。新電力会社でもこれまでの電気と何も変わりません。解約金がない会社を選べば、気軽に試せるでしょう。

2.夜間に電気を使う

オール電化住宅は、昼間よりも夜間の料金が安い傾向にあります。そのため、お風呂に入ったり、手間がかかる料理は夜間にするように心がけましょう。

また、消費電力が多い家電を確認してできるだけ夜間に使うのもいいです。消費電力が多い家電には電子レンジ・ドライヤー・食器洗い洗浄機などがあります。

3.季節に応じて設定を変える

電気給湯器や蓄熱暖房機は季節ごとに設定を変えて無駄なく使うようにしましょう。

給湯器の場合「夏場はあまりお湯を使わないので沸かす温度下げる」「逆に冬場は温度を上げて多く利用できるようにする」などの切替えができます。

4.追い焚きを使わない

追い焚きをしてしまうと、タンクの温め直す必要があり電気代がかかります。追い焚き機能はタンク内の熱を利用する仕組みで、追い焚きによりにタンクの熱が下がるからです。

入浴のときお湯がぬるいと感じたら「高温足し湯モード」が追い焚きよりも節電できます。タンク内の熱いお湯をそのまま使うためです。

5.生活の変化に合わせてプランの見直しをする

仕事で在宅ワークが増えれば昼間の電気代が上がります。また、家族の人数が増えたり減ったりすれば電気代にも影響があります。生活に変化があった際には電気の使い方も変わるので、状況に応じたプランを検討するようにしましょう。

オール電化におすすめの新電力会社

Looopでんきの「スマートタイムONE」

Looopでんきは、電気単価が30分ごとに変動する電力会社。

再エネ由来の電気が余っている「電気の市場価値が安い時間帯」の料金を安くすることで、再生可能エネルギーの普及を促進しています。

電気単価が安い深夜帯に電気を溜めておく仕組みの、オール電化住宅に向いています。

基本料金（税込）	無料
1kWhあたりの従量料金	30分ごとに変動
提供エリア	北海道、東北、東京、北陸、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄

東急でんきの「スマートナイトプラン」

「スマートナイトプラン」とは、午前1時から午前6時の約5時間の電気料金が安くなるオトクなプランです。このプランに加入することで、毎月300円も電気料金を安く抑えることができます。

契約手数料も無料なので、お試しでも契約することができます。午前1時から午前6時の深夜時間に活動することが多い方におすすめなプランです。

基本情報

基本料金（税込）	40A：1,144円※東京電力エリアの場合
1kWhあたり従量料金（税込）例	◎デイタイム 32.88円※東京電力エリア・午前6時~午前1時の場合 ◎ナイトタイム 24.86円※東京電力エリア・午前1時時~午前6時の場合
提供エリア	東京都、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、山梨県、静岡県の一部（富士川以東）※離島除く

出典：東急でんき公式サイト

idemitsuでんきの「オール電化プラン」

「Shell」として知名度ある出光興産のidemitsuでんきには、深夜にお得になるオール電化プランがあります。

地域の電力会社の基本料金より割引される料金体系になっているので、オール電化からの乗り換えで安くなります。例えば、東京電力エリアでは10kVAあたりの基本料金は2,860円から2,750円に下がります※1。

万一、解約するときでも違約金などはかかりません。どれくらい効果があるか試す感覚で切り替えてみても良いでしょう。

基本情報

基本料金（税込）	10Aあたり300.74円※東京電力エリアの場合
1kWhあたり従量料金（税込）例	◎デイタイム 35.76円※東京電力エリア・午前6時~午前1時の場合 ◎ナイトタイム 27.86円※東京電力エリア・午前1時時~午前6時の場合
提供エリア	北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州

出典：出光興産公式サイト
※1：出光興産公式サイト

オール電化の5つのメリット

オール電化には、大きく分けて5つのメリットがあります。ここでは、オール電化の5つのメリットについて解説していきます。

1.基本料金を一本化できる

オール電化住宅に住んだ場合、ガスを使わないため、電気の基本料金のみしかかかりません。

また、電力自由化以降は、基本料金が無料のプランを提供する会社もあるため、さらに節約することも可能です。

2.暖房を安く使用できる

夜間の電気料金が安いプランで契約した場合、夜間のうちに貯めておいた熱を日中に使用できるため、暖房費を削減できます。

また、エコキュートで給湯をしたときの熱を床暖房に用いることも可能です。オール電化で電力を上手く分散させて、暖房にかかるコストを削減しましょう。

3.火を使わないため安全

灯油やガスなどを使う場合と比較して、火事が起こるリスクが低くなります。

また、ガス漏れやガスの不完全燃焼などで一酸化炭素中毒を起こす心配もないため、安全に使用できます。高齢者や子どもがいる家庭におすすめです。

4.キッチンを清潔に保てる

オール電化住宅に設置されている「IHクッキングヒーター」は、ガスコンロよりも凹凸がないため、お手入れがしやすくなります。

料理中に調味料や油が飛び散ったとしても、簡単に拭き取れるため、掃除に時間がかかりません。

5.災害時の復旧が早い

電気は、ガスよりも、復旧に時間がかからなく、東日本大震災の際も、ガスよりも電気がいち早く復旧しました。

オール電化の4つのデメリット

オール電化には様々なメリットがある反面、デメリットもあります。ここでは、オール電化のデメリットについて解説していきます。

1.日中の電気料金が割高になる

オール電化向けのプランは、夜間の電気料金が低めに設定され、日中の電気料金は割高に設定されています。

日中自宅にいることが多い方やリモートワークの方などには、あまりおすすめしません。

2.導入コストがかかる

オール電化の導入時には、IHクッキングヒーターやエコキュート、蓄熱暖房機の本体価格や設置工事などの高額な費用がかかります。

長期的な光熱費の節約にはつながりますが、導入する際にはまとまった費用が必要です。

3.エコキュートの設置スペースが必要

エコキュートの本体サイズは大きいため、あらかじめ設置場所を決めておくことが大切です。

エコキュートは、作動音が発生する機械のため、設置場所によっては、近隣に住んでいる方と騒音トラブルになる恐れもあります。設置場所は慎重に判断しましょう。

4.使用できる調理器具が限られる

土鍋や耐熱ガラス、アルミや陶磁器などは、IHクッキングヒーターでは使えません。

ただし、オールメタル対応のIHクッキングヒーターを使用する場合、アルミや銅の調理器具を使うことが可能です。

オール電化が向いている家庭・向いていない家庭

オール電化の使用は、向き不向きがあります。ここでは、オール電化の使用が向いている家庭と、向いていない家庭について解説していきます。

オール電化が向いている家庭

オール電化の使用が向いている家庭の特徴は、大きく分けて3つあります。以下では、オール電化の使用が向いている家庭について解説していきます。

①日中の電力使用量が少ない家庭

オール電化は、夜間の電気料金が安く、日中の電気料金が高く設定されているため、日中に使う電力が少量の家庭におすすめです。

②子どもや高齢者がいる家庭

オール電化は、安全性が高いとされているため、子どもや高齢者がいる家庭にも適しています。

オール電化は、ガスを使用せずに、IHクッキングヒーターを利用するため、火事やガス漏れなどを起こすリスクを下げられます。

③光熱費を節約したいと思っている家庭

オール電化は、光熱費を節約したいと思っている家庭にもおすすめです。オール電化の家は、過ごし方次第では、電気代を節約することが可能です。

オール電化向けのプランは夜間が安くなるものが多いため、夜のうちに家事や充電などを行うように心がければ、電気をお得に利用できます。

オール電化が向いていない家庭

オール電化は、家庭によっては向いていない場合もあります。以下では、オール電化が向いていない家庭について解説していきます。

①日中の電力使用量が多い家庭

オール電化は、日中の電力使用量が多い家庭には向いていません。オール電化向けのプランは、夜間よりも日中のほうが電気料金が高く設定されているためです。

②エコキュートの設置スペースがない家庭

エコキュートの設置スペースを確保できない家庭にも、オール電化の利用は適していません。

③導入コストを準備できない家庭

導入コストを準備できない家庭は、オール電化を導入できません。オール電化の導入時には、本体価格や工事費用などの高額なコストがかかります。

よくある質問

まとめ

オール電化の電気代は様々な条件はありますが、4人家族で月額平均15,000円前後が相場になるでしょう。ガスと電気代を合わせた金額が月額15,000円以上を超えていれば検討する価値があります。

また、「火災のリスクを抑えられたり」「災害時の水の確保」などのメリットあります。一方で、「停電時」「初期費用」などのデメリットも考慮しなければなりません。